共犯者 ３版 （カッパ・ノベルス 松本清張短編全集）本ダウンロード無料pdf
共犯者 ３版 （カッパ・ノベルス 松本清張短編全集）
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ペーパーバック : 328 ページ作者 : 松本 清張 （著）
出版社 : 光文社
コレクション : 小説・文学の通販
ISBN-10 : 978-4-334-07514-9
フォーマット : 紙の本
平均的な顧客フィードバック : 4 5つ星のうち（4人の読者)
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自分は自分の最大の味方でも最大の敵となる時も ** 小学校の頃、友達と喧嘩した。怒った私は彼女の上履き袋を取り上げて、校門の向こうへ放り投げた。とっさに彼女と、一緒に下校していた子達の顔を見た。「あ、まずった。」そう思ったが、門は閉まっていて、辺りも暗く、私は一目散に家まで駆けた。けれど夜布団に入っても、結局寝つけず、とうとう私は一部始終を母に打ち明けた。いくぶん、泣きも入っていた。「明日学校に行ったら彼女に謝って探す」と解決法を提示されたものの、尚も私は眠れなかった。見つからなかったらどうしよう。明日彼女や友達が、もし学校で変な目で見ていたら。あれから先生に言ったろうか。いろんな不安が解消したのは、翌朝彼女に謝って、上履きが見つかった時だった。やった後、爽快感より不安や後悔の念で苦しんだ私は、他人にでもなく、他の何にでもなく、自分の疑心暗鬼に負けたのだ。表題作の主人公も、私と同じ小心者だ。でんと構えていればいいものを、疑心暗鬼を消す事ができない。嘘の上塗りで、薮をつついて蛇を出す。気の大きな人が犯罪をおかしても、動物や植物、それに普段は気づかない習慣など、思いがけない所から犯罪が露になる事がある。それなのに、肥大し続ける疑心暗鬼などという、さらに厄介な敵を抱え込む人は、なおさら犯罪などに関わらない方が良い。…という事を、松本氏が物語を通じて、優しく説き聞かせてくれるわけではない。「うわ、こんな心理まで書かないで欲しい。」「こ、こんな末路が待ってるの？殺生な。」と言いたくなるよな血も涙もない観察者の目で、冷静に現象を叙述してゆく。だから私はちくちくと、無数の小さな針で、しじゅう体を突かれているような気分になった。ああ、恐い。ああ、痛い。一体どこで、私の心を見たのやら。「部分」「小さな旅館」「鴉」「万葉翡翠」「偶数」「距離の女囚」「典雅な姉弟」収録。
